乳児院とはどんな施設?その役割や仕事内容、雇用状況について紹介
保育

2022年5月24日

乳児院とはどんな施設?その役割や仕事内容、雇用状況について紹介


乳児院は保育士の資格をもった人が働くことのできる施設です。
しかし、乳児院の数は全国でもあまり多くないため、「乳児院について詳しく知らない」という人が多いのではないでしょうか。
この記事では、乳児院の特徴や役割から、乳児院で働くための資格や仕事内容についてご紹介します。

 

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1. 乳児院とはどんな施設?



乳児院とはどのような施設なのか、児童養護施設や保育園との違いをご紹介します。

■乳児院はこんな施設


乳児院とは、何らかの事情によって保護者と生活することが困難な乳児を保護し、見守り育てる施設のことです。
「乳児院」の名前通り、主に0~2歳頃までの低年齢の子どもたちが入所し、1日24時間すべての時間を乳児院で過ごします。
入所した子どもたちは2歳頃を過ぎると児童養護施設への入所が一般的ですが、保護者の元へ戻ったり、里親に引き取られたりするケースも見られ、行き先はさまざまです。
他にも、乳児院では地域の子育て支援や、保護者・里親の支援も行なっています。
また、乳児院の運営は地方自治体や社会福祉法人などが行なっており、保育士や個別指導員だけでなく、看護師や栄養士が配置されているのも特徴です。

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■児童養護施設や保育園との違い


児童養護施設は、乳児院と異なり、1~18歳未満の子どもが入所対象者です。
乳児院と児童養護施設の主な違いは、入所対象となる年齢と言えるでしょう。
一方、保育園との違いは主に養育を行う時間です。
保育園では親の就労などの時間帯に子どもを預かり養育しますが、乳児院では送迎に来る保護者がいないため、24時間子どもの養育を行なっています。
また保育園と比較して、乳児院に入所している子どもは、複雑な環境や事情を抱えた子が多いという点も特徴です。

■乳児院の実態と現状


厚生労働省「社会的養育の推進に向けて」によると、2020年度の乳児院施設数は全国に145か所、入所児童数は2,472人となっています。
乳児院の施設設置数の推移を見ると、2000~2020年までの20年間で上昇傾向にあり、2012~2022年の10年間で施設数は約1.2倍に増加しました。
施設の増加に対して入所児童数の推移を見ると、2001年にピークを迎えた後、少しずつではありますが減少し、2012~2022年の10年間では約0.8倍となっています。
また、近年では乳児院の小規模化が進められています。理由は、乳児期は愛着形成においてとても重要な時期だからです。小規模化することで、職員一人ひとりが子どもにじっくりと向き合い、より家庭に近い環境で過ごせるようになると言われています。



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2. 乳児院の役割・目的とは



ここでは乳児院の主な役割について、ご紹介します。

■専門的な養育


乳児院では、子どもの状態に応じた専門的な養育を行なっています。
被虐待児・病児・障がい児など、さまざまな子どもたちが多数入所しているため、保育や医療、心理的なケアも必要です。
そのため、保育士・医師・看護師・心理士などが連携し、子どもに必要な専門的養育を提供しています。
心身の発達においてとても重要な時期に専門的な養育を行うことは、乳児院の重要な役割です。

■保護者や里親への支援


入所する子どもの保護者や、里親への支援も乳児院の役割の一つです。
子どもと離れて暮らす保護者をサポートし、子どもと一緒に生活できるよう支援したり、家庭復帰できた場合は親子のアフターケアを行なったりもします。
もし、里親と暮らすことになった場合は里親家庭をしっかり支援し、ケアすることも乳児院の役割です。

■地域の子育ての支援


乳児院では、各市区町村との契約により地域で暮らす子どもと保護者の支援も行なっています。
たとえば、電話相談(赤ちゃん110番)や里親相談・養育家庭相談、育児体験教室、ショートステイ(お泊まり)事業、病・虚弱児の養育などです。
ちょっとした相談からショートステイまで、子育て支援のためのさまざまな事業に取り組んでいます。



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3. 乳児院に入所しているのはどんな子どもたち?



乳児院は誰でも入所できる施設ではありません。
子どもが乳児院に入所する理由や、年齢層についてお伝えします。

■子どもの入所理由


乳児院への子どもの入所理由には下記のようなものがあります。
● 両親の病気や精神疾患
● 父母就労
● 受刑
● 破産など
● 虐待・ネグレクト
(出典:乳児院運営指針
乳児院への入所にはさまざまな理由がありますが、理由は一つではなく、いくつもの要因が重なっていることがほとんどです。

■乳児院に入所する子どもの年齢層


乳児院は原則として乳児(1歳未満)を保護し、養育する施設ですが、実際には3歳頃まで入所しているケースも見受けられます。
さらに、2004年の児童福祉法改正によって「安定した生活環境の確保その他の理由による特に必要のある場合」には、乳児院でも就学前までの子どもを預かることが可能になりました。
現在では乳児から3歳児までを中心に、就学前まで(6歳)の保護や養育も行なっています。

■乳児院への入所期間


乳児院の子どもの半数は入所期間が6か月未満の短期保護ですが、なかには長期在籍となる子どももいます。
長期在籍となる子どもの多くは、障がいを抱えていたり兄弟姉妹が同じ施設にいたり、などの理由があるようです。
(出典:保乳児院運営指針/厚生労働省・児童養護施設入所児童等調査の概要/厚生労働省



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4. 乳児院の設置基準




乳児院にはさまざまな設置基準があります。

■乳児院の施設規定


乳児院の施設規定は、入所する子どもの人数によって異なります。
ここでは、厚生労働省「児童福祉施設最低基準」の資料をもとに、人数別の設備基準をご紹介します。

■待機児童の人数の推移


待機児童数調査のポイントによると、2016~2021年の待機児童数は下記の通りです。

入所する子どもの人数 必要な設備
10人以上 ● 寝室(乳幼児1人につき2.47m²以上)
● 観察室(乳児1人につき1.65m²以上)
● 診察室
● 病室
● ほふく室
● 相談室
● 調理室
● 浴室
● トイレ
10人未満 ● 乳幼児専用の部屋(一室につき9.91m²以上かつ、乳幼児1人につき2.47m²以上)
● 相談室

■乳児院の職員配置


乳児院には下記の職員を配置する必要があります。
● 保育士
● 医師または嘱託医
● 看護師
● 個別対応職員
● 家庭支援専門相談員
● 栄養士および調理員
● 心理療法担当職員

これらの配置は児童福祉法により定められています。



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5. 乳児院に勤務する保育士の仕事内容とは?




乳児院での保育士の仕事内容は、一般的な保育園での乳児保育と異なる点もあります。
乳児院で勤務する保育士の仕事内容について見ていきましょう。

■子どもの養育・学びの面でのサポート


子どものおむつ替えや食事の手伝い、絵本の読み聞かせなどは一般的な保育園での仕事と同じです。
保育園と異なる仕事内容としては、入浴の手伝いなどの、より細かい生活指導でしょう。
通常であれば家庭が担う愛着形成やしつけに関しても、乳児院で働く保育士の仕事です。

■保護者へのケア・指導


子どもと離れて暮らす保護者へのケアや指導も保育士の仕事です。
具体的には、保健師などと協力しながら保護者と子どもが面会できる機会を作り、保護者が育児を再開できるように指導します。
このとき、保護者に不安な気持ちがあればフォローしていきます。

■乳児院での1日の仕事の流れ


乳児院は一般的な保育園と異なり24時間体制で運営するため、保育士の仕事も24時間体制で行います。
乳児院で働く、日勤保育士の大まかな仕事の流れは下記の通りです。

7:30 起床・朝食 出勤後、夜勤の保育士から引き継ぎ、子どもたちの起床・朝食の手伝い
9:00 遊び 読み聞かせや外遊びなどの集団保育、おむつ替えやミルクなど
11:00 昼食 昼食の手伝い
12:00 お昼寝 お昼寝の間に事務的な手続きや書類作成を行う
15:00 おやつ・遊び おやつの手伝い、集団保育、おむつ替えやミルクなど
18:00 夕食・入浴 夕食や入浴のお手伝い
19:00 就寝 就寝の手伝い、夜勤の保育士へ引き継ぎ、退勤

仕事の流れとしては、乳児院でも日中のスケジュールは保育園とさほど違いはありません。
しかし、乳児院にはさまざまな事情を抱えた子どもが入所しているため、より愛着形成に気を配り、通常であれば家庭で教えるしつけやマナーなども保育士が担うことになるでしょう。
夜勤の仕事内容としては事務的な作業の他にも、睡眠中の子どもの様子を見る、夜泣きをする乳児の対応などがあります。


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6. 乳児院で勤務する際に必要な資格




乳児院で勤務する際に必要な資格や、取得していると役に立つ資格をご紹介します。

■代表的な職種の資格


代表的な資格としては、保育士・医師・看護師・栄養士・臨床心理士が挙げられます。
担当の仕事である任務に応じてそれぞれの資格が必要です。
乳児院での勤務を希望する方は、希望の職務に応じた資格を取得しましょう。
また、乳児院によっては保育士の資格を持っていなくても、児童福祉事業で実務経験を積んでいた場合、指定の大学などを卒業することで児童指導員として働けることがあります。
他にも、保育補助の募集なら、資格や経験がなくても採用されやすいです。

■必須ではないが役に立つ資格


必須ではありませんが、持っていると乳児院での勤務に役立つ資格は下記の通りです。
● 社会福祉士
● 児童指導員任用資格
● 保健児童ソーシャルワーカー
● 幼児安全法支援員

生活支援の経験があるとアピールポイントになるでしょう。
乳児院での子どもたちの生活支援には、育児経験やベビーシッター、介護施設などのボランティア経験は、役に立つからです。


7. 乳児院の雇用状況とは?




乳児院の給料や福利厚生など雇用状況や、求められる人材をお伝えします。

■給料・福利厚生について


乳児院の給与は平均的な月収で22~24万円程とされており、一般的な保育士の給与よりやや高めです。
理由としては、24時間勤務のため、夜勤手当の適応が挙げられます。
他にも、乳児院は国や自治体、社会福祉法人などが施設を運営していることが多く、住宅手当や退職金制度などの福利厚生が充実していることから、給与や待遇面はよいと言われています。
ただし、不規則な勤務やイレギュラーへの対応で勤務時間が延長するなど、定時で帰ることが難しい場合もあるため、余裕をもって対応する覚悟は必要になるでしょう。

■求人状況や雇用形態について


乳児院での保育士の働き方は正社員だけでなく、契約社員・派遣社員・パートなどがありますが、基本的には夜勤にも対応できる正社員の求人がほとんどです。
これは、保育士は子どもに対して親のように接し、家族のような関係性を築いていくことが求められるため、長期にわたって安定して働ける正社員が適切と考えられるからでしょう。
しかし、乳児院の施設は全国に145か所しかなく、求人数も少ないというのが現状です。

■求められる人材とは?


乳児院で働くために保育士などの資格は必要ですが、乳児保育や養護などの経験を求められることはありません。
ただし、保育園などで低年齢のクラスを受けもった経験や育児経験、療育などの知識があると重宝されるでしょう。
また、保護者のサポートや看護師などとの連携が必要になるため、高いコミュニケーション能力が求められます。



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8. 乳児院のこれからの課題




乳児院が抱えるこれからの課題には、短期的なものと長期的なものがあります。

■短期的な課題


短期的な課題は下記の通りです。
● 児童福祉施設の最低基準の見直し
● 乳児院の小規模化
● 職員雇用確保の方策
具体的には、夜勤体制を強化するために、職員や里親支援職員の増員をするほか、継続的な愛着関係のために生活・養育単位を小規模化し、落ち着いた雰囲気で安定した生活リズムを作ることがあげられています。
(出典:乳児院の課題

■長期的な課題


長期的な課題は下記の通りです。
● 乳児院機能の将来性
● 養育の質を確保するため、職員配置基準の見直し
● 養育の質を向上させるための人材育成、専門的養育機能の充実
● 保護者支援または地域支援機能の充実
労働基準法が順守でき、ワークライフバランスが可能な看護師・保育士・児童指導員などの職員配置や、専門職としての人材確保を行うために給与保障があげられています。
(出典:乳児院の課題


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9. まとめ




乳児院とは、何らかの事情によって保護者との生活が困難な乳児を保護し、保育士や看護師・児童指導員などがチームとなって見守りながら育てていく施設です。
乳児院で働く保育士は保健師などと連携し保護者や里親のサポートもするため、一般的な保育園の業務とは異なる点もあります。
ぜひこの記事を参考に乳児院の仕事内容に理解を深め、就職や転職を考えてみてください。


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この記事を書いた人

セントスタッフ株式会社
デジタルマーケティング部
中村璃奈

求人あるあるの求人作成・記事執筆を担当。保育士。 保育士として保育園で8年間勤務。大手から小規模まで様々な保育園で勤務経験あり。

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